朱の蝶
そんな私にも

たったひとつだけ

気がかりな事があるの。

『ええやん、頼んだで』

そう、それは、私と
暮らすうちに、弦の言葉が
どんどん、おかしな発音の
言葉になっていくの。

イントネーションが変。

それが、ほんの少しだけ
気になるの。

花に触れた手で、今度は
お腹に触れる千景。

だって・・・

「また、カレーやって
 もう、飽きたやんなぁ?
 
 そうや、こっそり
 シチューにしよか?」

だってね・・・

この子まで、発音が
おかしくなるのは困るもん
< 436 / 451 >

この作品をシェア

pagetop