朱の蝶
貴方は私に、あの日の兄と
同じ微笑みをくれる。

私の瞳から零れ落ちる涙

あの日と同じ、止まらない。

私の頭を優しく撫でてくれる
大きな手。

貴方は

お兄ちゃんに似てる。

貴方は

私の帰るところ・・・

マスターに声をかけて喫茶店を
出て歩いて行く貴方の後ろに
付いて歩く私は、その腕に
触れる。

「あの、セキガミさん・・・」

「ゲン、セキ
 
 どっちでもお前の
 好きな方で呼んでくれ」
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