踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
 その企業は世界各地で雑多な犯罪を続けていたがアメリカの企業であったため、合衆国は諸外国との外交問題に発展する事を避ける目的で国際手配という手段をとった。

「そのあと、やはりクローンは問題だと言いだした政府の人間が出てきた」

「当然の反応だろうな」

 ぼそりと戒が応える。

 真仁はそれに苦笑いを浮かべて一度、目を閉じた。

「それだけなら良かったんだけどね」

 開いた瞼(まぶた)から現れた瞳は、愁いを帯びている。
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