踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
「……」
スコープを覗く戒の表情は苦い。
<つながった>
戒のヘッドセットに呼び鈴がしばらく鳴り響き、そして──
<しばらくだな、戒>
「水貴(みずき)」
スコープの向こうに捉えた男が携帯のようなものを右耳にあてがい、無表情に立っている。
水貴と呼んだ男の逆の手にはライフルが握られていた。
「何故お前がそこにいる」
<それが正しいと思ったからさ>
その言葉に、戒は喉の奥で舌打ちした。