雨上がりの君に恋をして
ポツンと佐野くんはつぶやいた。


佐野くんはなんて言おうとしたの?

私、自惚れているのかなぁ?
私、佐野くんの言おうとしていたその先・・・知っている気がする。


そんなことを思っちゃうと、期待しちゃうよ、私。


「やっぱり・・・なんでもない。。それじゃあ!!」

佐野くんは耳まで顔を真っ赤に染めて屋上をあとにした。



私は佐野くんが去ったあともなかなか教室には戻らなかった。
だって・・・こんなに真っ赤な顔、見せられないもん。


火照った顔を冷やすまで私は屋上にいた。
少し冷たくなった夜風が、肌を冷やした。


遠くで花火の音が鳴っていた。

それを何度も何度も聞き返すようにその花火のオトを聞いていた。


16歳、夏。
この夏は刺激的でちょっと大人な夏だったーーーー。
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