刻の無い少女



「ヒヨ、これから私はしばらく出かける。一人で留守番できるか?」



出かける…つまりどこかに行くと言うこと。



うなずいて答える。





きっと一人でも大丈夫。
虚に心配をかけてはいけない。





「二三日だけだ。なるべく早く帰って来るからな。」





うなずいた。


こういう時に言うこと。





「いって……らっ…しゃい。」




そう言うと、虚は口元を覆っていた。





「いってきます。」






虚は裏口から出ていった。この家からは竹やぶが見える。というより、竹やぶが覆っていた。




虚は竹やぶの中へと消えていった。








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