写真を撮って





「………いらないの?」


「ううん。……おにーさんに、持ってて欲しいの………」


私はおにーさんの見る景色を。
おにーさんは私の見る景色を。


持っていたい。
持っててほしい。


「………自分の撮った写真をもらうのって、なんか変な感じだ」


「………捨てないでよね。それ、私だと思って」


「……これ、君なの?……捨てたら呪われそうだな」


冷蔵庫に貼っとくよ、と言いながら、おにーさんは写真をポケットにしまった。


写真を優しく両手で包み込む。


……私はもう一度おにーさんを見上げた。


「………おにーさんの名前、そろそろ教えてくれない?」


「……また君、僕の写真集かなんか探すつもり?」


「いや、そうじゃなくて……」


名前で呼びたい、なんて、わがままかなあ。


おにーさんをそろりと見上げると。


おにーさんは困ったような顔をした。


「………そんな目で見ないでよ」


私の頭をなでなでした。




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