写真を撮って





「………まだ、降ってますよーにっ!!」


そう言いながらスーパーを飛び出す。


しかし、私はがっくりと肩を落とした。


「うっそー………。なんでよー………」


……………雨は止んでいた。


「空気読めよー……ばかぁ……」


おにーさん、帰っちゃったよね……。


ため息をつきながら、横目でベンチを見る。


その瞬間、私は固まった。


おにーさんがこっちを見て笑いながら、ベンチに座っていたのだ。


「………なっ、なんでっ!?………雨、降ってませんけど……?」


私があわあわと喋ると、おにーさんはげっそりした顔をした。


「それくらい分かってるよ……。………ほら、見て?」


おにーさんにつられて空を見上げると。


「…………わぁ………!!」


…………虹が出ていた。


「………どうせ君、雨が上がったらがっくりして、気づかずに帰っちゃうでしょう」


「……うん。それは言えてる」


私が真顔で頷くと。


おにーさんは呆れながら、でも楽しそうに笑った。




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