幸せの見つけかた
コホンと咳払いし、妖精は背筋を伸ばした。




あー、そういえば、バアちゃんの何とかって…。




「バアちゃんなら、5年前に死んだけど?」



「はい。ハルさまは今、天国で楽しく暮らしてらっしゃいます。そして… 良平さまを心配してらっしゃいます。」




「…俺を?」



「30歳にもなって、女性に振られてばかりで、どうしようもない。 いつになったら、ひ孫の顔が見られるのかと… 嘆いておられます。」





「よけいな、お世話だよ。」





俺がガキの頃、母親が家を出て行き、オヤジと2人きりになってしまった。



そこで父方の祖母が家に来てくれて、色々面倒みてくれた。



だから正直、俺はバアちゃんに頭が上がらない。



亡くなってしまった今も、本当に大切な人だ。





「そのうち、ひ孫も見せるからって言っといてよ。バアちゃんに。」



妖精に向かって言った。





「いえ、今日はお見合いの話を、ことづかって来ました。」










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