あやめ【短編】
第二章 扉
変な夢を見た。


薄暗い路地。壊れかけた塀。


壁にはスプレーで描いたような落書き。







…ここは……どこ?


足を速める私はフェンスに近付いた。



あれ…誰かいる…。


フェンスの向こうで人が立たずんでいた。


その人のいる地面には誰かが倒れている。



…な…に?



ぽたぽたと赤い色の液体が地面へと落ちる。


怒り狂ったような、でも悲しい目。


その目は私の方へとゆっくり向けられた。
















あれは…………!











ピリリリリリリリリッ

「…あっ!!」


私は荒い息を出しながら夢から覚める。


「…何よ…あれ。」


夢?


でも凄く鮮明で…

立っている私は身体の芯が凍るような…変な感覚に陥った。




…あれは…誰?


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