偽りのお嬢様
噂のお嬢様

ここ、東京都内にたたずむお金持ち学校、

五十嵐学園は―…



「皆さまごきげんよう。」
「ごきげんよう。」


綺麗な言葉、
綺麗な姿勢、
綺麗な容姿。

全てに気品を求めるお嬢様。


「あっ、篠崎さんだわ!!」
「えっ?篠崎さん?」

「あぁ、あのね。ここには凄いお嬢様がいるのよ。」

五十嵐学園のトップと言っても過言ではない、

気品
容姿
それと学歴。

全てを兼ね備えたお嬢様のなかのお嬢様。


「篠崎 詩苑さん!」
「…あら先生。」
「ごめんなさい。成績表を渡すのを忘れてしまって…」

そう微笑んで先生は成績表を私に差し出した。

「あぁ、休んだときの。ありがとうございます先生。」

深々と頭を下げて、
立ち去ろうとした。

けど、

「凄いわね、今回も首位キープなんて。」
「はは…とんでもございませんわ…。」
「さすが篠崎さ…「すいません、急ぎますので。」

頭を軽く下げ、
廊下の角を曲がった瞬間、
スカートをまくり上げ、
ダッシュした。


「やばっ、タイムセールに遅れちゃう!」


(ホントに走りづらいなぁこんなに長いスカート、今時誰も着ないわよ!)


彼女の今の姿を見られようものなら、多分退学だろう。

だがそれよりタイムセール。



なぜなら彼女は《貧乏》だからだ。



.
< 1 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop