かたっぽうの恋

見えないツバサ



公園についてしまった…。


「ほら、ちぐさ!念願の桜の木だよ」



夜の電灯と、月明かりに照らされた桜の木を前にして
秀ちゃんが腰に手を当て、
どうだ!と威張る。


風に揺らされ、桜の木が泣く。



「綺麗だね…」



言わなきゃ、




「ねぇ、秀ちゃん?」


「ん?」


「私のお守り、もうしなくていいから」




サァァァァ…



風と木のラプソディー。







私は秀ちゃんの目をちゃんと見ている。





「どうしたの?、お守りなんてさぁ」


秀ちゃんは、ハハハと笑う。



「私、秀ちゃんの妹じゃないからね」


「……えっと、うん」


「……妹みたいでもないんだからっ!!」



なんかキョトンとしている秀ちゃんに、
私は怒鳴った。

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