かたっぽうの恋

やわらかな月

※MAO SIDE。




先生の車から降りて、しばらくしない間に私は月島さんに会った。





だけど、どうしてか二宮くんがいない。





「月島さん、こ、こんばんわ」


「こんばんわ…」




しーん、何故か沈黙。




どうしたんだろ、なんだか気まずい。





二宮くんに告白しようとした矢先にライバルの月島さんに遭遇なんて、そら気まずいよ…


それになんでいないのさっ、二宮くん!




「月島さん、ひとりなの?」


さりげなく、聞いてみた。



「うん、ひとりだよ。岸本さんは彼氏さんと一緒じゃないの?」


「へ?」



彼氏?



そのとき、なぜだ!?

なぜ私は先生を思い出してしまったんだ!!



「いないよ、彼氏なんか」


「だってさっき車で通り過ぎたの見たから、運転していた人…」



あ、見てたんだ。


「ちがう、あれは実習せ…」


「?」


言い切りそうになって、止まってしまった。



実習生さんの車に乗ってるの、怪しまれたらどうしよう。




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