かたっぽうの恋
私のイメージって、先生からすれば子供なんだね。


たしかに先生がハタチで私が16歳。四歳差があるんだもの…


先生からしたら、私なんてお子様。


なんだか知らないけど口惜しくて、私は拗ねた。



「先生に色気出す必要ないもん…」





―――あ…やばぁ、またやっちゃった…。




なんで私って、こう
可愛くない事を言っちゃうのかな…。


すると先生が



「色気ゼロな所に、俺は癒されてるよ、今。」



「え?」






癒されてるの?


こんな私に?




「今日いろいろあったな。疲れた?」

「大丈夫。泣いてスッキリできたみたい」

「へえ。単純て素晴らしいな」



悪かったわね、どうせ単純ですよ。




「実習、あと二週間くらい何だけど…」


「あ…」


そうか、先生は実習生だった。


「……この実習が終わったらなんだけど、映画見に行…く?」



半乾きの髪から一粒、水滴が落ちた。


「映画!?」


私と先生が!?



「い、嫌なら、べつに…」


若干、声が裏返ってる先生。



私は顔をぶんぶん振り。



「嫌なわけないよ。行きたいっ!」



必死に言った。




「じ、じゃ、5月の連休に――。よかったらアドレス教えてくれる?また連絡するから」


「もちろん!」



私と先生が、映画…。



なんだろう、失恋したばかりなのに なんだかワクワクする。

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