かたっぽうの恋
ヤバッ!!


いつから見ていたんだろ!?
私は動揺して椅子から落ちそうになった。

「岸本、大丈夫?」

二宮くんの腕が私の肩を掴み、傾いた身体を支えてくれた。


「あ、ありがと…」

「落ち着こうな?」

「………ごめん。」


二宮くんの事が視界に入っていなかった。こんなに近くで見られていたなんて!


幻影ならいいのに、今隣に座っている二宮くんが幻ならいいのに



「―――よかったね」


まぼろしでも無ければ、幻聴でもなくて、二宮くんはたしかに隣にいる。



「な…なにが?」


平然を振る舞う私を見透かすように二宮くんは笑顔のままで言った。



「いや、ほら。…会えて」

二宮くんが、まっすぐ先生を指さす。

「!!!!!!」


二宮くんの伸ばした腕を押さえ付けた。

ばれたらどうするの!?


私の身体に流れている血液が熱くなるのがわかった。



「やめてよ、やめてよ!!」


「ハハ、ごめん。」

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