たった一つのプレゼント




「……まぁ」



そう言って
迅は目線をピックに戻して
一生懸命ひもを
ピックにあいた穴に
通そうとしているのだった。



不器用そうに
通りそうで通らないひもを
一生懸命通そうとしている迅が



可愛かった。




「貸してみ?」



私は迅からピックとひもを
奪い取ると、簡単に
ひもを通した。




「チッ………」





舌打ちをして
何事もなかったように
それを首にかけた。




ちょっとしたそんな行動が


嬉しくてたまらない。







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