専用煙草。
最初は全く眼中になかった。
彼が誰と話そうが、誰と遊ぼうが、興味なかった。
だって、ただの“先輩”だから。



あたしは集団行動が好きじゃない。
特に女ばかりの群れには入りたくなかった。
男兄弟に挟まれて育ったせいか、自称他称共に「男勝り」なのだ。
男友達といる方が気を遣わなくて楽だ。
女はすぐ徒党組むし、色々面倒くさい。



「ねぇ、律子も一緒に入ろうよ!」

大学進学の為上京してきて五日目。
履修説明会で声を掛けたアユミが、テニスサークルに入ろうと誘ってきた。
元々運動は好きだし、何かしらサークルに入ろうとは思ってたけど…
テニスか…ベタだな……。でも他に思い付くものもないしな。

「いーよ」
そう答えて、持っていた煙草の火を消した。

煙草は高校三年の終わり頃から吸っている。
親元を離れた今、その本数が一気に増えたのは言うまでもない。
最初は興味本意だった。それが気付けば中毒者。今のご時世、女が煙草を吸っている事に対して、あーだこーだ言う奴は少ない。
煙草は、あたしにとってはなくてはならないものになっていた。
携帯・財布・煙草。
この三つがあれば良かった。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop