秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*

……いや!

な……。


「ぬゎんであーたがここに…?」


父様…。


…そう。

ギイィと門を開けて一歩足を踏み入れた瞬間、飛んできたのは父様という名の物体…い、いや。人だった。

今はパリにいるはずの父様。

それがなぜ…?


「……その様子じゃ大丈夫だな」


「え?」


「…すまなかったね、楓くん」


「は…」


父様…?


「君には本当に、迷惑をかけてばかりだ。今回も多大な世話になってようで申し訳ない」


「あー…いえ。そんなことは」


「だが本当に感謝している。君がいてくれたおかげで、真裕はこうしていられるんだ」


…!

父様…。


「本当にありがとう。私の代わりにそばにいてくれた。いや…私よりもずっと、真裕の支えになっているのだろう…」


「……」

「……」


あたしとかっくんは、思わず黙り込んだ。

突然現れるのはいつものことだけど、突然のこんな言葉は初めてだった。


「父様……。父様こそ、大丈…」


「あああっしかし!! 喪中は挙式ができんな! 不謹慎だとは分かっているが分かっているが! 悔しいものは悔しい~~っっ」


……。


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