極甘王子はいかが?

逃走、子うさぎ!



しばらく走って、心臓が悲鳴を上げ始めた。


私、長距離って向かないんだよ…っていうか、運動全般がね。

足手まといになってることは重々承知だったので、追いかけて走るのは諦めて、自分から離れた。

必死に走ってる二人は気付かずに走り続けて、とうとう角で曲がって見えなくなった。



「ひとりぼっちだぁ…」



ついさっきまで、これでいいんだって思ってたのに。

一人になった途端に不安に押しつぶされそうになる。

知らない土地でひとりぼっち…。

しかも、追われてる身。

なんか、周りは薄暗いし。

とりあえず、近くにあった準備室みたいな所に入ってみるけど、薄暗くて空気が埃っぽい。

ジメジメしてるっていうのかな。

なんかお化けが出そう。



「やっぱり一人になんか、なるんじゃなかったよぉ」



早くも後悔。

気を紛らわせようとして携帯を見るが、お兄ちゃんからの"お姉ちゃんの寝顔写メ"が来てただけだった。

< 32 / 69 >

この作品をシェア

pagetop