僕の世界は一日限り【BL】

「じゃあ、謝らないでくださいね」

俺が手を止めると、彼はそう言った。

「何で?」

「何でって……アンタが謝る時、
 どんな顔してるのか知ってますか?」


そんなの、知る訳がないじゃないか。
鏡を見てもいないのに、
自分の顔は見えないのが普通だ。


「笑ったりしてるつもりみたいですけど、
 すごい、苦しそうな顔してるんですよ」


……そんなの、知らなかった。



「だから謝らないで名前、呼んでください
 それだけでいいんです。
 笑って、おれを呼んでください」


「……努力します」


自分がどんな顔してるのかは知らないけど
俺は謝る回数が多いような気がする。
それは少し、減らせるように頑張ろう。


< 69 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop