チョコレートシェイク
「この子はオススメですよ〜かわいいし、家庭的だし。」

奈津美が横で私を売り込んでいた。
私は我に帰って恥ずかしくなってトイレに逃げた。

やばっ、何言った私?!
自分を落ち着かせて席に戻った。

落ち着いたハズなのに、挙動不審。
「こんなにテンパってる沙里見るのはじめて‼」

奈津美は楽しんでいた。

「じゃあ、とりあえず番号交換しときます?」

店長が携帯を持ってきた。

「えっ?!」

思わぬ展開にあたふたしてしまった。
携帯の赤外線通信なんて何てことないのに、テンパりすぎてそれすらできない。

「赤外線てどうやるんだっけ?」

なんてバカな事を聞いてしまった。

「レアだ。こんな沙里、二度と見れない〜笑」

奈津美は隣で爆笑していた。

何とか番号交換を終えたけど、私は相変わらずテンパっていた。

「本当は昨日HALに来ようと思ってたんですよ。でも、沙里ちゃんが焼き鳥っていうから鶏屋にしたんです。」

旬君が言った。

「そーなん。昨日はたった混んでて忙しかったから、昨日来とったらこんな風にゆっくりできんかったわ。」

その彼の発言に間髪入れずに

「運命!」

と奈津美が言った。

運命かぁ…確かに。

「こんなんやったら俺ちゃんと髪セットしとくんやったー」

髪をわしゃわしゃしながら彼が笑った。

閉店間際にお店をでた。
「ウチの嫁をよろしく〜」

彼はそんな事を言って私の背中をポンと叩いた。





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