王子様と甘い生活

「ただいまー」



未来くんとジェラートを食べて、家に帰るとお母さんがまたキッチンに煙幕を発生させていた。



「おっ、お母さん!?」

「ちはるママ!?」

「うわぁーん、芽依助けて!」



もぉー…
お母さんは、お料理教室で、何を勉強しているんだろう。



「お母さん料理は私がやるから、もうちょっと練習してからにしようよ、仕事もしてるんだし、ね?」



私は、換気扇を回し、黒くなったフライパンを洗う。



「だって、芽依に任せっぱなしじゃ申し訳なくて…」



その気持ちは嬉しいけど…これじゃあ、いつ火事になるかわからない。



「じゃあさ、仕事が早く終わった日はご飯炊いといてよ。で、おかずは一緒に作ろ?ね?」



そう言うと、お母さんがぱぁぁっと明るい笑顔になった。



「うん、そうする。」



無理はしてほしくないけど、お母さんにも人並みには料理ができるようになってもらいたいもんね。



「あっ、そうだ。」

「どうしたの?」



すると、お母さんがにこっと笑った。



「芽依、おかえり」



いつも忙しくて、家にいなかったお母さん。
おかえりなんて、何年ぶりに聞いたんだろう。

当たり前のこの言葉が嬉しくて、私は自然と笑顔になれた。



「ただいま、お母さん!」




恋する相手【end】


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