王子様と甘い生活
――――――――
―――――

「1年生はこっちに集まれー」



とうとう今日はプール掃除の日。
体育委員は、指示を出したり備品を出したりするため忙しいのに、さっきから悠真が見つからない。



「先輩!やっぱり当たったんですか!?」



突然、悠真の嬉しそうな声がプールサイドに響く。

悠真と話していたのは、小柄で長い髪をポニーテールに結んでいて、かわいらしい女の人。あの人が、悠真の好きな人なんだ。

悠真の表情がいつもと違うからわかる。



「吉沢、中村と備品の整理してくれ。」

「あっ…はい」



先生に指示されて、行きたくないのに、悠真に近づく。



「悠真」



そう呼びかけると、悠真が振り向いた。その拍子に、先輩と目があった。



「なんだよ芽依」



そう言った瞬間、先輩が驚いたような表情をした。



「あっ…備品の整理しろって、先生が…」

「あぁ~、今いく。じゃあ先輩!またあとで」



そう言って、悠真が歩き出した。私は、先輩に向かって頭を下げると、先輩もぺこっと頭を下げた。

先輩なのに…私に頭を下げてくれたのに少し驚いた。



< 62 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop