先生~あなたに届くまで~

「あーそれは...。」

恥ずかしくて口ごもると

「無理に聞かないわよ。」

今度は優しく笑った。

「うん。それがね結局1つも
 叶ってないの。
 何をお願いしたらいいか叶えてくれるか
 わからないし...。

 実は週に一回でも月に一回でもいいから
 放課後に紅茶を飲みに行っていいか
 って言っちゃったんだけど...

 やっぱり駄目だったんだよね。」

私はどける様に苦笑いをした。



「それでさっきの会話になるわけね。

 伊原先生もOKしたんだから
 何でも聞いてあげればいいものを。
 遊び心のない大人ね。」

と早絵は私の代わりに文句を言っている。


私は早絵の言葉に「先生だからね」と苦笑したけど


心強い友達を持ったなぁと嬉しくなった。






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先生?

あの頃先生の優しさが嬉しかったです。

例えそれが生徒を大事に思う優しさでも。

でもいつからだろう。

その優しさが嫌だった。

もう優しさはいらないと思ってしまったの。


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