先生~あなたに届くまで~

「春菜いなくなると急に静かだね。」

私がぽつりと言うと

早絵と先生は声を合わせて

「春菜がうるさ過ぎるの。」
「小林がうるさ過ぎるだけだろう。」

と言うから三人とも笑ってしまった。



「じゃあ先生、私も帰ります。
 雪音は先生の仕事手伝ったら?

 学級委員長の務めなんじゃない?」

と私に微笑んで

「雪音が私達の分も頑張りますので。」

と先生に言い残して
さっと部屋を出て行こうとする。


「ちょ、早絵!?」

私が声をかけると早絵は振り返って

「雪音、あとよろしくね。」

と念を押して帰って行った。


急に静かになった部屋。


私は笑うしかなくて「ははは」と
空笑いしながら先生の方を見る。


「新藤って
 有無を言わさない雰囲気あるよな。」

と先生が感慨深そうに言うから

私は笑ってしまった。


笑う私を見ながら先生が

「んで学級委員長は
 手伝ってくれるんですか?」

と微笑むから

「はい。学級委員長の務めですから。」

と私は笑顔で答えた。




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先生?

どんなに遠くても
私には一番近くに感じられたのは

私が先生を好きだったからですか?

私だけが感じていた事ですか?


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