先生~あなたに届くまで~

私が笑いながら話し終わると
早絵は真剣な顔で
「それでどうするの?」と尋ねた。

「うん。正直悩んでる。
だけどね今日初めて...
先生が先生でよかったって思えたの。
自分でも不思議なんだけどね。」

私はひと呼吸おいて話し始める。

「先生と生徒ってある意味特別でしょ?
切りたくてもすぐには切れないし。
かと言って終わりがないわけじゃなくて
ちゃんと卒業って形で
さよならする日がくる。」

私はまたふっと笑った。

「だから私。
先生と生徒って関係でもいいなって。
ある意味特別な関係?
それがちょうどいいのかもって。」

私は2人を見る。

「それでいいの?」
春菜は少し心配そうに聞いてくれる。

「うん。
それがいいかなって。」
私は春菜に微笑み返した。

「じゃあ渡辺君はどうするの?」
早絵はまだ真剣な顔のまま。

私も一番きちんと考えなきゃと
思っていたことを率直に聞いてくれる。

「うん。
ちゃんと向き合おうと思ってる。
今度は逃げじゃなくて本当に向き合ってみる。」

私は真っ直ぐ早絵を見た。

すると早絵は優しく微笑んで
「それならよかった。」とつぶやいた。

「よかった..?」
私が不思議そうな顔をすると

「真剣に考えてくれてる相手に逃げたくて
すがるのは間違ってると思うのよ。

きちんと向き合うならそれでいい。」

早絵は本当に安堵したように微笑むから
私はずっと引っかかっていた
もう1つの思いの答えが見えた。


ーーーーーーーーーーーーーー
先生?

いつまでも特別な関係でいたくて。
それが一番遠い関係だとしても。

それでもやっぱり先生とつながっていたい。

いくら綺麗ごとを並べても
いつも一番ずるくて弱くて
先生とのつながりを必死で探してるのは

私です。

ーーーーーーーーーーーーーーー

< 195 / 220 >

この作品をシェア

pagetop