先生~あなたに届くまで~
「先生ごめんなさい。
今回は悪気なかったんですけど。
平安の文学習いましたね。
だけど近藤先生はさらっと
作品を紹介した程度でしたけど...。」
私はくすくすと笑ったまま。
「まぁ先生も違えば
教え方も色々だな!
だいたいな悪気がなくて
あの発言の方が問題あるだろ。」
先生はわざと大きなため息を吐きながら
首を横に降った。
「まぁまぁ。
そう落ち込まないでくださいよ。」
そう笑いながら
ぽんぽんと肩を叩いた。
先生に自分から触れたのは初めてだった。
意識しないと自然にできてしまう。
「でも私先生から習いたかったな。
古文で習ったときも
短歌や俳句好きだったんですよね。
先生なら詳しく教えてくれそうなのに。」
「お前も俺を上げたり下げたり
忙しいやつだな!
でも確かに昔も今も
人の感じる想いや感動は同じなんだなって
改めて気づかされるよなぁ...。
だけど昔の人の方がロマンチストかもな。
言葉の遣い方も綺麗だし。」
先生はまるで今歌集を詠んでいるのかと
思う位、遠い目をしてそう言った。
そしてふっと笑う。