先生~あなたに届くまで~

クリスマス


「おはよう」

私は教室に入るなり
一番に早絵のもとに向かった。

「早絵。話がしたいんだけど。」

私の真面目な顔を見て
「うん」と早絵は小さく返事をした。

「早絵。私ね...。」

私が言葉に詰まると
早絵が代わりに言葉を続けた。

「渡辺くんのことでしょ?
雪音の口から聞かせて。」

そう言ってふっと微笑んだ。

「うん。
昨日ね、私。
もう一度先生に好きだって気持ち伝えたの。

そしてさよならもしてきた。

すぐには無理かもしれないけど、
私、早絵みたいに優輝のこと
一番大切に思えるような私になるから...

だから私優輝の側にいてもいいかな?」

私は早絵を見れずに
床を睨んだまま一気に話した。

するとふふっと頭の上から笑い声が聞こえた。

「雪音?
私に許可をとる必要ないわよ。

それにそんなに頑張って
人を好きになるものでもないでしょ?

自然でいいと思うわよ。
自然に渡辺くんを好きになる日が来たら
好きになればいいのよ。ね?」

早絵は可笑しそうに笑いながら
私を諭すように話した。

「ありがと。早絵。
ちゃんと向き合うから、私。

早絵の気持ち無駄にしないようにするから。」

私はそう言って早絵を見た。

「何だか私、凄く怖い人みたいじゃない。
やめてよね。」

また早絵は笑ってみせた。

早絵は本当に素敵な女性だ。
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