先生~あなたに届くまで~

採点をする先生を見ながら

日に日に深まる先生への想いに
胸が少し締め付けられた。


でも苦しいだけではない。
本当に幸せだとも思えた。



教室を見渡す。



クラスの皆も先生が若くて面白いから
好きなわけじゃない。

皆、先生が私達のことを
真剣に考えてくれていることを知っている。

だから先生の言葉に
皆動かされる。

先生の言葉に笑顔になれるのだ。



“先生の良さを知っているのは
 私だけじゃない”

“私と同じ様に先生を想う人は
 何人くらいいるんだろう?”


そう思うと先生の特別になることなんて
絶対に無理だと思えた。



“傷つきたくない”



その思いは誰よりも強い。

だけどもう諦められるほど
軽い気持ちでなくなっているのもわかっていた。


もう一度先生を見る。

さっきよりも
胸が締め付けられるのを感じた。


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