先生~あなたに届くまで~

「私の家ね、お母さんしかいないの。
 私が小2の時に両親は離婚した。

 母子家庭になった私は
 情緒不安定になって夜中に泣き続けて
 口数が少なくなって。

 そんな私を見てられなくなった
 お母さんは私が小4の時に
 お父さんとよりを戻したの。

 あの頃の私は
 何も知らなくて...。
 ただ2人がいてくれる事を喜んでた。」


一気に話してふーっと息を吐いた。

初めて話す自分の事...。
どう思うだろう...。

大丈夫だよね?先生。


「だけどね家の中は
 夫婦喧嘩が絶えなくなった。

そして気づいたの。
喧嘩のたびお父さんは...
お母さんに手を上げてた。

 そして小6の時...

 夜中にリビングから
 2人の喧嘩の声が聞こえてきて...

 私そっとリビングに降りたの。

 そしたらね、お父さんが

 “雪音さえ、いなければ
  こんな生活しなくていいのに”って。
 
 “雪音のせいでこんな家族ごっこ
  しなくちゃいけない。
  雪音さえいなければな”って。

 お母さんは否定もせず
 悲しい顔をしてた。

 私が中一になってからはお父さんは
 ほとんど家に帰らなくなって
 お母さんは家計を支えるために
 仕事をしなくちゃいけなくなった。

 私のせいでお母さんを
 悲しませて、苦しめてる。

 私がいるからお父さんは
 嫌な思いをして、お母さんを傷つけてる。」


話しながら、その時の光景がはっきりと
思い浮かんで胸が締め付けられた。


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