スマイリー
13 怒りと本音と建前と
センター試験翌日から更に4日経過した金曜日の早朝は寒さが和らぐどころか、ますます気温が下がっていく。道ばたに出来ている水溜まりはカチカチに凍って、踏んだらさぞかしいい音がするだろう。



学校の最寄り駅に併設されたコンビニの前に、赤いポストがやや場違い気味に立っている。



進は大きな封筒を3つ、立て続けにポストへ投函した。ひとつは帝二大の前期試験願書、ひとつは西京大の後期試験願書、そして、私立関南大学のセンター利用の願書である。



「よしっ」



これで後には引けない。1ヶ月弱で前期試験がやってくる。進は帝二を受ける。



担任の岡田にはこの日の前日に帝二大受験を伝えた。岡田は進の肩をポンポンと叩き、「お前なら絶対受かる」と、そう言ってくれた。



有華と敬太のことは、それなりに気持ちの整理がついたつもりだ。ふたりを応援するとまではいかないけれど、ある程度割り切れたと自覚はしている。



自分が帝二に受かることで、有華が“勉強や宿題を教えたかいがあった”くらいに思ってくれればそれでいい。



「今日も英語、頑張るかぁ」



投函したポストをボンっと叩いて、進は学校へ向かった。



天気は快晴。こんな日は気分が落ち込まなくて都合がいい。冷たい風が顔に吹き付けると、自然に気持ちが引き締まる。
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