スマイリー
「えー、それでは在校生を代表して、わたくし杉山正樹がご挨拶を」



いいぞ、やれやれー、と、野次を飛ばされながらただ叫んでいるだけにしか聞こえない正樹のスピーチを、進は秋本翔一と並んで聞いていた。



「1年のクセにしゃしゃりでるなぁ、正樹は」



「リーダー気質じゃないか?大地さんみたいなカリスマ性を俺は感じるけどね」



正樹のテンションに苦笑する進に対して、翔一がフォローした。



「賑やかは賑やかだけど、自分たちが追い出される側になると、どっか寂しいもんだな」



翔一はそう言いながら、どうやら終わったらしい正樹のスピーチに拍手を送った。



「確かに」



進もそれには同感だった。手近な机にあるポッキーを一本口に入れて、義理堅く正樹に拍手を送る。



「ま、こうやって追い出してもらえるのも、あの時進に勉強助けてもらったおかげかな」



にやりとこちらを見て笑う翔一。



「俺はあの出来事は消し去りたいよ」



わざとその時の話をしてくる翔一に対して、進はバツの悪い気分になる。



大勢の生徒の前で仲間に無神経な暴言を吐いて殴り倒されたのだから、当然ではある。
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