smooch【BL/完結】
8.GW


「何か手伝う事無い?」

連休中も、やっぱり俺の家へ来た彼は
何故だかそんな事を言う。

それも1度や2度じゃない。
日に数度も、毎日言う。

昨日は天ぷらが食べたいという事になり、
揚げようとすると、手伝おうとするし。
だけれどそれは怖いから断った。
すると、不満そうにむくれている。

……何なんだ?一体。


「最近、もしくは今度、何かあるの?」

別に俺の誕生日でも何でもない。
他の記念日らしいものも思いつかない。

そして彼はだんまりを決め込んでいる。


「……そういえばもうすぐ子供の日だね。
 それで何か欲しい物でもあるのかい?
 いい子の所にサンタさんが来るのは」

クリスマスだよ?と、
ちょっとからかおうとしたら

「バーカ!違うし!」

クッションを投げつけられた。


「とにかく、何かして欲しい事ない訳?」

なんでもするよ。と、そう言う彼に
俺がいつも頭で思い描く事を言ったなら
果たしてどんな反応をするのだろうか。

……言わないけど。


「じゃあお風呂でも洗って貰おうかな?」

洗濯も済んだし、俺が今している
食器洗いを手伝わせる気は無い。
調理実習でもその不器用っぷりは
散々思い知っている。

だから、他に思いつかない。

彼は解ったと言って、
素直に風呂場へと向かった。


本当に、何がしたいんだろうか。

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