真輔の風

二人は不安のまま警察署に着いた。


すぐに手錠を掛けられた真輔が現れた。

その顔は… 今でも自由になれば暴れてやる、

と言うような怒りを含んだ顔をしている。


いつものおとなしい孫ではない。

何をされたのだ。

第一、手錠とは何事だ。



手塩にかけて育ててきた、

愛おしい孫・真輔が刑事に連れられてきた。

今度は栄作の怒りが爆発してしまった。

よしのは、手錠をはずされた真輔に駆け寄っている。




「君たちは何のつもりだ。

高校生の孫に手錠など掛けおって。

真輔、その顔はどうした。

こいつらにやられたのか。」



いつもは温厚な栄作、

警察官たちを睨みつけながら、

腹の底から噴出したような大きな声で、

その場にいる警察官たちを威嚇している。

< 34 / 155 >

この作品をシェア

pagetop