桜の木の下で。
《第1章》

高校~入学~

自分の事は、自分が一番解ってる。
だから、他人に指摘されるのが一番大嫌い。
15年間、ずっとそうして来た。
「・・・」
「仁菜、入学式遅れるわよ!」
8歳年上の姉・仁美。
私とは正反対で、誰にでも好かれるタイプの人間。
私はそんな姉が大嫌いだった。
「・・・」
「仁菜!!」
「解ってる・・・」

私がもう一つ大嫌いなもの・・・式典関係だ。
話が長いから、大嫌い。
「・・・ん?」
私はふと、職員席を見た。
「あの人・・・寝てる?」
後ろの席に座っている、どうみても20代後半の男の先生は居眠りをしていた。
「・・・まぁ、関係ないや」
そう、この時の私はまさか、入学式に居眠りしてるアイツが私の人生に大きな影響となる人物だとはまだ、知らなかった。
そして、2時間の入学式が終わり、新入生はクラス副担任に連れられ、各自の教室に行った。
「もう少しで、担任の先生来るから、静かにしてろよ」
私のクラスの副担任・相模先生は欠伸をした。
「・・・ホント、この学校って変な先生ばっかり」
私は入学式の最中に居眠りしていたアイツの事を思い出した。
「あんな奴が担任だったら最悪じゃんか・・・」
「悪い、遅くなって!」
教室に入って来たのは、居眠りしていたアイツだった。
「えっと、大野雄也です。専門教科は数学です」
「マジで!?」
その日の夜。
「・・・はぁ~・・・。何か、最悪・・・」
私の学校は全寮制。
「まぁ、全寮制って言う所が良いんだけどねぇ~・・・」
その時だった。
誰かがドアをノックした。
「はい、どちら様?」
「担任の大野だけど、今、良いか?」
「はい、今開けます!」


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