桜の木の下で。
そして、1週間後の土曜日。
私と有子は映画館に行った。
その帰り道、私たちは駅内にある喫茶店に入った。
「有子、ごめんね・・・。折角、実家に帰る所だったのに・・・」
「ううん、大丈夫。ただ、爺ちゃんの様子見て来るだけだったから」
「・・・有子・・・っ」
「まぁ、本当は大野先生が一緒に行きたかったんだと思うよ?」
「・・・大野先生が?」
「うん。だって、変じゃん・・・」

「じゃぁ、月曜日ね♪」
「うん!」
私は有子を寮の前で見送り。
「・・・」
「・・・東雲」
「大野先生・・・」
「今、良いか?」
「あ、うん・・・」

「・・・東雲」
「ん?」
「・・・俺、担任から外れる事になった」
「え・・・?」
「それと・・・他の学校に行く事になったんだよ」
高校2年の夏。
私は何か大事なものを失いそうな気がした。
「・・・え・・・?」
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