これからも君だけ



とりあえず顔を洗って歯を磨いて制服に着替えて…鞄を持ち急いでリビングに戻ると





「……いな…い…」






思わず持っていた鞄をボトリと床に落とす。





時計を見ると五分と言われた時間から七分経っていて…だからって行く事なくない?こんなにも急いだのに!!たった二分くらい待ってくれても良いじゃない!!




怒りでドンドンと足音を立てながら玄関に向かうと、






「うるせェぞ」





「…え!?」





そこにいたのは玄関の大きな扉に寄りかかり、偉そうに腕を組んで眉をひそめる湊君の姿。





「…待っててくれたの?」





予想外の出来事に驚き少し目を見開くと






「先に行ったらお前が乗る車なくなるだろ」






この人は一体優しいのか優しくないのか…どっちなの?




しかも歩きじゃなくて車で行くのか…確かにここからだと学園ではかなりの距離がありそうだ。






二人で玄関を出てロビーに向かう途中、何人ものホテルの従業員の人達に挨拶をされる。





よく考えたらホテルに住んでるっておかしくない?しかもスイートルーム。






いや、そもそもを考えたらまず…まだ正式な婚約発表もしていないのに高校生の男女が一緒に住む事自体が可笑しい。





いったいうちの親は何考えてるんだか…




可愛い娘が心配じゃないんだろうか。襲われたりとかさ。あるかもしれないじゃん…?





まぁないと思うけど。
きっと女の子に困った事なんてないんだろうしね…わざわざ私に手を出してくるわけない。






とにかく何としてでもこの婚約を正式発表までになんとかしないと!!






私は黒塗りの高級車に乗りながらギュッと拳を握りしめた。






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