甘い恋には遠すぎて
始終会話もなく一臣さんを夏稀さんの働く喫茶店に連れてきた。
もしかしたらこれで二人が上手くいったら私の恋も終わってしまうかもしれない。
それでいいの?何度も自問自答を繰り返したけど、結局私は、一臣さんの背中を押す事にした。
けれど、胸の奥が痛くて痛くて堪らなくて、思わず涙が溢れてしまった。
今、一臣さんの背中に触れた私の指は、もう二度と彼に触ることもないかもしれない。
そう考えるともっともっと胸が苦しくなるのだった。
二人はこれから何を話すのだろうか?
しばらく会っていなかった時間を語り合い、溝を埋めるんだろうか?
苦しい……
自分のした事なのにどうしてこんなに苦しいんだろう。
私はその場にしばらく立ち竦み動くことが出来ずにいた。