甘い恋には遠すぎて


『で、でも……好きなら……。』


『好きだからこそ別れる。相手の幸せを願う、そんな愛もあっていいんじゃないかな。』


『私には…わかりません。』


正直に言ってみた。
好きだったら一緒にいればいいじゃん。それじゃダメなの?
だって、二人は想い合っているのに?



『そうね……愛とか恋ってカタチがないものだし、何が正しくて何が間違ってるとか誰にもわからない事よね。』


『難しいですね…なんだか。』


『そうね……。』



そう言うと夏稀さんは自分のバッグを漁り


『あなたにお願いがあるの。私あと一週間したら、この街を離れるの。親の具合がよくなくて、大きな病院のある町へ引っ越すの。』


そう言ってブルーの封筒を差し出した。


『私がいなくなってから、これを一臣に渡してくれないかしら?あなたに話したことと寸分違いない事が書いてあるから。もちろん見ても構わない。』


渡された封筒は、封がされていなかった。




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