エリートな彼に甘く奪われました
次の瞬間、俺は彼女の細い両手首を掴むと衝動的に彼女を床に押し倒していた。

「………!!」

驚きで目を丸くしている彼女。

そりゃビックリするだろうな。

今、無理矢理奪ったら俺を軽蔑するだろうか。

彼女に覆い被さり彼女の顔の横に両手をついたままの体勢で一瞬迷う。

彼女の瞳がうるうると揺れながら俺をじっと見詰めている。

抵抗する訳でもなく俺の下で俺の真意を確かめるかの様に俺を見詰めたまま微動だにしない。



溢れる気持ちを彼女に思いのまま伝えたい。

深く彼女を知りたい。

俺だけのものにしたい。



しかし、そんな自分本意な理由で、彼女を傷つける訳にはいかない。

かすかに心の中に残った理性のお陰なのか、そう思い俺は掴んでいた手を緩め、起き上がろうとした。




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