プラトニック・ラブ




「鞄とかは取りに行かせたから心配すんなよ」



そのまま先生に渡されたあたしの靴を持ってお礼を言うと、外へ歩き出す。


そのまま裏門に止められているリムジンに乗り込んだ。



気づいた。


裏門にリムジンを止めたのは、あたしのため…でしょ…?



変に注目されるのを嫌っていることをきっと迅は知っているんだ。



そういう優しさがあたしの心を揺らす。


どうしようもなく触れたくなる。




「一旦寝ろ」



そう言ってあたしを寝かせると額に手を乗せた。


冷たくて気持ち良い。



あたしは言われるとおりそのまま目を閉じ、少し眠ることにした。




気づかれないように、何故か湧き上がってきた涙を隠しながら―――…




< 497 / 800 >

この作品をシェア

pagetop