─仮面─偽りの微笑み

「なぁ…もしかしてお前家に1人なのか?」



「はい、そうですけど?」



「昨日から出張って…昨日も1人だったのかよ」



「そうですよ?」



それが?なんて顔して言ってのける繭璃。



「はぁー…そういう事はもっと早く言えよ、で?両親はいつ戻る」



「え?あのっ、ごめんなさい…えっと一週間は戻りませんよ?」



「一週間も?お前…生きていけるのか?」



心配そうに見つめる俺に、頬をプクッと膨らませる。



「むぅ…わたし出来ますよ家事!お料理なんてママより上手いんですから!だから1人でも大丈夫なんですー」



ふくれっ面の繭璃に「ごめん、ごめん」と謝り引き寄せる。



頬に掛かる髪をよけ、耳元で囁いた。



「帰したくない」



「あっ…棗さん?」



「一緒にいたい…」



「…わっ、わたしも…です」



「帰ってもどうせ1人なんだよな?なら一緒に居ればいい」



そう言って、乱れたベッドへとまた舞い戻った。
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