─仮面─偽りの微笑み

「…繭璃」



彼女の名を呼び、抱き締める腕に力を込めた。



壊してしまいそうな程に小さくて、俺の腕にすっぽりと収まる。



甘い香りを漂わせ、俺の胸で無防備に眠る彼女を、″守りたい″と思う。



「好きだ…いや…愛してる」



「ふふっ」



「ん…?なんだ起きてたのか」



「はい…でも目が覚めて良かったです」



ん?と顔を見れば、うふふと柔らかな笑みを浮かべる。



「だって…″愛してる″って聞き逃すとこだったから」



「あぁ…盗み聞きとは悪い子だ…お仕置きされてーの?」



じっと見つめニヤリと笑って見せれば、それだけで熱くなる繭璃の身体。



「お仕置き…や…」



キュッと頂きを摘めば、「あぁッ!」と顔を歪めイヤイヤと首を振る。



「クスッ…かぁわいっ…」



重なりあって、ドロドロに溶け合い1つになってしまいたい…。



そんな事を考える程、彼女を愛してしまった俺がいた。
< 149 / 268 >

この作品をシェア

pagetop