─仮面─偽りの微笑み

出来る事なら一日中抱き合っていたい。



もちろん裸で…。



だけど身体だけの関係かも…と、彼女を不安にさせたくない。



この俺がこんな事を思うなんてな…俺は彼女を見つめ頬を撫でた。



「…ンな可愛い顔すんなって…それとも誘ってんの?」



「…や…ちがっ…ン…ふぅっ…っ…」



開きかけた唇を塞ぎ、深い口づけを交わす。



そしてふわりと抱き上げ、寝室のドアを開けベッドに繭璃を下ろし彼女に跨った。



見下ろせば潤んだ瞳を俺に向ける。



「棗さん…あのっ…ごっ、ごはんは?…えっと…なっ…なにに…し…」



人差し指を彼女の唇に当てる。



「俺が今欲しいのはお前だから…」



そう言って唇を軽く啄み、耳朶を甘噛みし囁く。



「朝まではしないから…ちょっとだけ…な?」



「…んッ…///」



赤くなる繭璃を抱き締め少しだけ戯れると、その夜は言葉通り早めに眠りについた。
< 166 / 268 >

この作品をシェア

pagetop