─仮面─偽りの微笑み
◇愛しいアナタ

「…修一さん…あたし…どうしたらいいかわかんない…」



兄が結婚する。



会社や沢山の人達の為に…自分を犠牲にして。



修一の腕の中で、美麗は泣いていた。



あの時、美麗は泣き疲れ眠る繭璃を置いて、兄に電話をかけた。



『お兄ちゃんお見合いしたって本当なの?!』



『あぁ本当だ』



『うそ…でもっ結婚なんてしないよね?ただお見合いしただけだよね?』



『いや…結婚も考えている』



『な…繭璃は?!』



『…あいつは今どうしてる?』



『傷ついてる、泣き疲れて保健室で眠ってる』



『…そうか…あいつの事頼む…傍にいてやってくれ』



『お兄ちゃん、繭璃の事好きならやめてよ!結婚なんて…』



『…じゃあ…お前が代わりにするか結婚?麻里香には兄貴がいたっけなぁ?』



『…え?……』



『無理だろ?…忙しいからもう電話してくるな…じゃあな』



代わりに…そう言われ、美麗は兄にそれ以上何も言え無かった。
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