─仮面─偽りの微笑み

「わ…すごっ」



その光景に、繭璃は思わずそう口にしていた。



会場は沢山の人で溢れかえっていた。



「繭璃大丈夫…?やっぱり帰る?」



「…え?…ううん、大丈夫だよ美麗ちゃん…ちょっとびっくりしただけだから」



ただ、棗に会いたい…その一心で此処までやってきた。



今更引き返せない。



「…なんか凄いことになってるわね」



ぐるりと周りを見渡した美麗が、驚いたように呟く。



「美麗ちゃんそんな他人事みたいに…それにしても凄いね」



隣でそう言った修一も、予想以上の光景に圧倒されていた。



「美麗ちゃーん」



唖然と立ち尽くす3人は、駆け寄る人物へと視線を向けた。



「…あ、ママ!」



「もーう、美麗ちゃんったらどこにいたのよっ!ママ心配したんだから」



「ごめん、繭璃迎えに行ってたの」



「…え…繭璃ちゃん?」



繭璃の姿を捉えたユウリの表情が曇る。
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