─仮面─偽りの微笑み

女の子達に囲まれ姿が見えない。



「げっ…あの車!」



「車?」



群がる人の向こうに見える高級車、美麗はそれを見て苦笑いした。



「あはは…あれお兄ちゃんのだわ」



「えっ…棗さん!…じゃあ格好いい人って…」



「お兄ちゃんの事みたいだね…どうする繭璃?」



「どっどうするって…」



赤い顔で、もじもじしている繭璃がいじらしい。



「行くの?行かないの?どっちよ」



「うー…美麗ちゃんのいじわるぅー…解ってるくせにっ」



瞳を潤ませ見つめる繭璃を、美麗は意地悪な微笑みを浮かべからかう。
< 31 / 268 >

この作品をシェア

pagetop