─恋々物語─〔1P短編集〕

願い─かみさまとあたしたち─




「 幸せが欲しい 」

そう願った少女がいました。

神様は言いました。

「 幸せは目に見えないもの。
そんなものが欲しいのかい? 」

彼女は何度もうなずきました。

神様は両手いっぱいにすくった
幸せ を彼女にかけてやりました。

「 ありがとう。 」

彼女は満面の笑みで言いました。


しばらくしてから
また少女がやって来ました。

「 あたし、好きな人ができたの...あの人が欲しいわ。あの人の、心をちょうだい。 」

少女の心は
ひどく汚れていました。


神様がふりかけた〔 幸せ 〕のせいで、現実が見えなくなっていたのです。


今まで願いさえすれば、その望みを叶えてきた神様。神様はそんな自分のしていたことを悔やみました。


そして
決心します。



神様は生き物に、行動することの大切さを教えました。

頑張ることの大切さを教えました。

自分自身で願いを叶えることの素晴らしさを教えました。


「 努力して努力して、頑張った者にはわたしが叶えずとも願いは叶うだろう。皆、自分を信じるのだ。 」


それを聞いた生き物たちは、自分の足で立ち上がり、前を向いて歩き出しました。

彼らの心は澄んでいました。
少女の心も、もう汚れてはいません。



「 努力しても叶わなかったら、またここに来て願いなさい。 」


きっと願いは叶うでしょう...神様は小さく、つぶやきました。




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