黒猫*溺愛シンドローム




“課題”?“提出”?


だって、それは……



「それは、あんたも同じでしょ?あんただって……」



クラス委員のくせに、堂々とサボったわけだし?


授業開始と同時に教室を出た私についてきて、ずっと一緒にいたんだから。

課題をやる時間なんて、なかったじゃない?



「あー…俺は、もう先に終わらせちゃったから。」


「……へ?」


「先生から早めに預かってたからさ。休み時間のうちに、終わらせておいたんだ。」



けろっと言ってるけど……

それって、
“職権濫用”だよね?



「だから、終わってないのは浅海さんだけ。
でも、大丈夫。先生も最初からわかってたみたいだから。」


「……は?」


「“居残りにはつき合ってやれ”って言われてるし。」



なんだって?

じゃあ、まさか……



「もしかして、
“わざと”私をここに連れ出した、わけ?」



私に課題をやらせないため、に?

みんなと一緒に提出できないよう、に?


……コイツなら、やりかねない。



「終わったら、デートして帰ろうね?」



睨む私に柔らかい笑みを向けて、王子様は屋上を後にした。






……また、やられた。



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