黒猫*溺愛シンドローム




浅海 風歩の名前は、

だいぶ前から知っていた。


この学校では異質な存在だったから。


ここは偏差値も進学率もトップクラスの進学校。


大学に行くために来るようなところだから、基本的にみんな真面目。


授業をサボるなんてあり得ない。


そんなことをしたら、ついていけなくなるからね。



なのに、彼女は……



気が乗らなければ、欠席。


堂々と居眠り。


ふらりと現れては、いつの間にかいなくなる。


とにかく自由。


束縛を嫌い、人と群れることを嫌う。


この場所に、とてもそぐわない人間。





まるで“猫”。






会ったことはなかったものの、彼女の噂は嫌と言うほど耳に入ってきて……


俺はすごく興味を持った。





だって





噂が全部本当なら、


彼女はまさに、俺の“理想の女の子”だから。


< 21 / 310 >

この作品をシェア

pagetop